野坂昭如「骨餓身峠死人葛」 [他]
野坂昭如の作品で怖かった記憶があるのが、「骨餓身峠死人葛(ほねがみとうげほとけかずら)」。
…… 死人は、売勘場の後にある、まばらな林の中に埋葬され、卒塔婆一つが立てられて、たちまち忘れられたが、養分とてないはずの塔婆に、根無し葛に似た寄生植物が必ずまといついて、山の者はこれを死人葛(ほとけかずら)と呼び、その細い茎が卒塔婆にまきつきはじめると、「成仏しょったとたい」縁もゆかりもないながら、顔見合せて納得し、夏になると、この寄生植物は名前に似合わぬ白い可憐な花を飾り、いささか無気味な、しかも自らの姓に関係のある花を、作造の長女たかをは好んで、父親に連れられて山へあそびに来たおりふし、死人葛の宿り主と頼むものが実は卒塔婆と知ってか知らずにか、「うつくしか、あげん花、家の庭にも植えたか」父にねだり、かなえられぬと花をいくつか手折って、そのつどきつく叱られていた。
この葛抗にすがって暮す集落の、ある時栄えまたさびれ、それは時うつろえば姿かわる人の世の必然にしろ、しかし四十年近くの間に起った、あまりに異様奇怪なできごとはすべて、葛のたかをに魅入ったか、あるいはたかをの、死人にひかれたのか、二つ分ち難くからみあっての因縁に、その源があったといえよう。……
(野坂昭如『骨餓身峠死人葛』中央公論社 (1969年) 11-12頁)
http://www.amazon.co.jp/dp/4006021178
[記事] 「月刊住職」が「攻めすぎ」と評判 産経ニュース [他]
「檀家の死を予見できるか」 専門誌「月刊住職」が「攻めすぎ」と評判
全国の住職向けに発行されている「月刊住職」(興山舎)がインターネット上で話題だ。創刊41周年を迎えた同誌は、お坊さん業界唯一の専門誌。「お寺の盆踊りを盛んにさせる法」や「月収10万円以下の極貧寺院」などの業界事情から、寺院の関与が疑われる開運商法、僧侶の不祥事などタブーにも果敢に切り込む姿勢には、ネット上からも「攻めすぎ」との賛辞が寄せられている。「全住職の約4分の1」という圧倒的な購読者数の背景には、緻密な取材と「問題点から学ぶ」という骨太のジャーナリズム精神があった。
http://www.sankei.com/premium/news/150818/prm1508180004-n1.html
全国の住職向けに発行されている「月刊住職」(興山舎)がインターネット上で話題だ。創刊41周年を迎えた同誌は、お坊さん業界唯一の専門誌。「お寺の盆踊りを盛んにさせる法」や「月収10万円以下の極貧寺院」などの業界事情から、寺院の関与が疑われる開運商法、僧侶の不祥事などタブーにも果敢に切り込む姿勢には、ネット上からも「攻めすぎ」との賛辞が寄せられている。「全住職の約4分の1」という圧倒的な購読者数の背景には、緻密な取材と「問題点から学ぶ」という骨太のジャーナリズム精神があった。
http://www.sankei.com/premium/news/150818/prm1508180004-n1.html